札幌の地とともに
歩んできた100年

私たち札幌拓殖倉庫は明治45年(1912年)に創業し、今年(2023年)で112年を迎えました。ここまで来られたのは札幌の地域の皆さんのおかげです。創業当時の札幌は人口が10万人にも満たないとても小さな街でした。それが今では190万人にまで成長しました。時代や街の変化に応じて、私たちにはいくつか大きなターニングポイントがありました。1970年には、札幌駅周辺の鉄道高架化により本社を札幌駅から桑園へ移転することになり、倉庫業を営みつつ、不動産賃貸業の割合を増やしてきました。また1980年頃には、それまで中心的な役割であった、米や商品を貯蔵するという需要が減少し、備蓄倉庫以外の役割を模索しました。常に街の声に耳を傾け、街の政策なども良いきっかけにしながら、需要に応えて変化し、成長してきたと言えます。より良いサービスを提供し、札幌の地にお返ししたい。試行錯誤は今日も続いています。

代表取締役 池田 俊介

代表インタビュー

変えていくこと、変わらないこと

私たちが行っているのは、倉庫やオフィスビルなど事業者向けに不動産を提供するサービスです。本社倉庫で行っている「倉庫業」と、主に桑園や白石で物件を貸し出す「不動産賃貸業」を営んでおり、現在大部分を占めるのは後者です。新しい活用方法を常に模索している中、最近では、私たちの物件の古さ・レトロさに新たな価値を見出した建築家、写真家やインテリアショップなど、新しいタイプの方々が倉庫を活用してくれています。私たちも会社の未来や変化を考えた時に、彼らから声をかけてもらったことが思いがけないヒントとなりました。歴史ある古さ・時間の積み重ねに価値を見出し、大切に思っている私たちのように、古いことを価値とする文化がこの先もっと形になっていくと思います。  時代とともに古い建物は壊され、建て直されてきました。札幌も例外ではありません。しかし私は「新しくつくり替えること」だけが街を良くする方法ではないと思います。「古さ」や「歴史」に価値を見出し、それをどのように生かすかを考えています。

ただの利益追求は目指していない。
周りを喜ばせることが大切。

新型ウイルスによる未曾有の時代を経て、リモートワークを導入する企業が増え、オフィスや店舗のあり方が変化しています。社会の変化に合わせると、札幌拓殖倉庫は不動産賃貸業以外の業態に変化する時なのかもしれません。しかし札幌には変わらず190万人を超える人々が暮らしています。そしてそこに商売があるのなら、その需要に応え続けたいと考えています。まだ小さな街だった札幌で、倉庫業から始まった「札幌拓殖倉庫」という会社の名前も残していきたいと考えています。大規模な再開発の提案を受けることもあります。もちろん商売ですから利益は必要ですが、私が目指したいのは、規模拡大や土地を最大限に活用した利益の最大化ではありません。札幌駅から桑園へ移転する時期に、音楽や演劇など表現活動をする若者たちに取り壊し前の倉庫をイベントスペースとして貸し出し、札幌の文化芸術の発信地となったことがありました(詳しくは駅裏8号倉庫のページをご覧ください)。  利益を追い求めるだけではなく、街と関わりながら、社員が、取引先が、市民が、みんなが喜ぶサービスや環境を提供したいと考えています。そのためには利益とうまくバランスを取ることが必要で、その手腕が今試されていると感じます。